気まぐれなあとがき

すべてあなたとわたし宛て

脱稿

7月の終わりからずっと掌編小説を書いていた。

「応募してみたら?」と教えてもらった新人賞は、単行本デビューできるわけではないからスルーしていたのだけど、年齢制限があり今しか応募できないと知って、とりあえず書いてみることにした。プロットも一応作ってみたけど全然当てにならず、成り行きで書き進めた。一ヶ月くらいかけて原稿用紙23枚ぶんの物語が完成した。わたしはとにかく筆が遅いことで有名なのだった。

わたしは頭であれこれ考えすぎて行き詰まるタイプだということが今回の執筆でよくわかった。そこで実験としてわざと音楽をかけながら文章を書き、余計なことを考える隙を与えないようにしてみた。実際に作業してみると、文章を書くことだけに集中できたような気がした。長時間書く場合は頭が疲れてくるのでやめておいた方がよさそうだったけど、短時間作業するときは使える技かもしれないと思った。

書いている途中、いろいろな妄想をした。もしも最終候補に選ばれたら、もしも新人賞を獲ったら、というものだ。そんなのどうでもいいから手を動かしなさいよと言われればその通りなのだけど、妄想している一瞬が楽しくて原稿に向き合うモチベーションになる。

そういうことを書くと自分の小説に相当自信あるんだな、と思われるかもしれないが実際は逆で、自信がないから自分を奮い立たせる必要があっただけだ。原稿を送り出した今でも、もっとよい小説が書けたんじゃないかと思っている。まあ今回はリハビリみたいなものだから……とセルフハンディキャッピングをして、今は次に書く小説のことを考えています。