気まぐれなあとがき

すべてあなたとわたし宛て

みかん・半纏・梅昆布茶

1.みかん

みかんが美味しすぎる。母がそこら辺のスーパーで買ってくる、赤いネットに入ったみかんがめちゃくちゃ美味しい。あまりにもバクバク食べるものだから「1日に3つまでだからね!」と釘を刺されている。その計算だと毎食後にみかんを食べてもいいことになるが、手が黄色くなりそうでちょっとこわいので、朝食後と昼食後に食べている。たまに我慢しきれなくて3時のおやつの時間にも食べる。甘みと酸味のバランスが絶妙で、ひとつほおばると口の中が一気に爽やかになる。この、脳までシャキッとする感じがたまらなくすきだ。やみつきとはこのことだろうか。

みかんといえば白い筋みたいなものをどこまで取って食べるか毎回悩む。全部取るのは面倒だし、かといってそのまま食べるのは何となく気が進まない。白い筋みたいなものを全部綺麗に取って食べている女の子が昔同級生にいたが、わたしはそこまで器用じゃないし根気もないので、中途半端に白い筋を残したまま食べることが多い。白い筋をちまちまと取るとき、必ずその女の子の白い指先を思い出す。

 

2.半纏

冬になると部屋着の上に半纏を羽織る。去年まで使っていたえんじ色の半纏はボロボロになって捨ててしまったので、今年から紺色の生地に所々かすりが入った半纏を着ている。暖かいし動きやすいしわたしからすれば満点なのだが、家に来た祖母にその姿を見せたら「すみれちゃんも若いんだからもっと若者らしい服を着なさいよ」と呆れられてしまった。家なんだからいいじゃないか、バスローブ着るよりマシだろう、と思いながら、わたしはそのお小言を聞き流している。

半纏には左側にポケットがひとつついていて、普段はスマホを入れている。ただ、スマホをポケットに入れながらトイレに行きたくないという個人的事情があり、そのせいでしょっちゅうスマホをなくす。ポケットからスマホがすり抜けて便器に落ちたら困るから、トイレにスマホは持ちこみたくないのだ。トイレ内で激しい動きはしないのだが、しょうもない心配性が発動してしまう。というわけでスマホをその辺に置いてトイレに行き、どこに置いたかわからなくなってスマホを見失う。部屋の中にあることはわかっているからどうせ数分後には見つかるのだけど、この時間無駄だよなあと思っている。

 

3.梅昆布茶

梅昆布茶がすきだと言うと十中八九笑われる。何がそんなにおかしいのかわたしにはわからないが、おそらく年齢の割に渋いものがすきなんだなと思われているのだろう。別にいいじゃないか。わたしは梅昆布茶がすきです。

我が家には梅昆布茶の缶が常備してあって、のんびりしたいときにいつでも飲めるようになっている。濃いオレンジ色の小さな缶をパカッと開けると、梅とだしのいい匂いが鼻をくすぐる。熱いお湯をそそぐだけで、ちょっと散らかっている部屋だって老舗旅館になる。床に寝転がってみるとフローリングが痛くてそんなのは幻想だとたちまち現実に引き戻されるのだけど。

ただこの梅昆布茶、湿気に弱くて少しでも湿るとカチカチに固まってしまう。噂にはきいているけど大丈夫でしょ~と思っていたらわたしの大切な梅昆布茶ちゃんも固まってしまった。可哀想に、すぐに元に戻してあげるからね!と言って、湿気取りのマカロニを缶の中に突っ込んであるのだが、これが全く効果がない。フライパンで炒るという手もあるらしいけれど、もうすぐ飲み終わるし、と思って、飲みたいときに匙でガリガリ削っている。

 

これでこたつがあったらザ・日本の冬!なのだけど、我が家にはこたつがない。残念すぎる。サンタさん、余った予算で歳末セールに行ってこたつ買ってくれませんか?